首都圏の新築と中古一戸建て、3月は明暗分かれる動き

2025年3月の住宅市場は、首都圏の新築一戸建て価格が再び上昇した一方で、中古一戸建ては2カ月連続の下落となった。東京カンテイの最新調査によると、新築は平均4,764万円(前月比+2.2%)、中古は平均4,030万円(同-1.1%)と対照的な動きがみられた。

新築一戸建てでは、千葉県が+2.6%の4,006万円と初の4,000万円台に突入。東京都も+2.2%の5,823万円、神奈川県+2.4%の5,170万円、埼玉県+1.3%の3,843万円と、首都圏全域で上昇が続いた。ただし、戸数は前月から一転して全都県で減少しており、供給の縮小が価格を押し上げた可能性もある。

一方、中古市場では、東京都こそ+1.9%の6,499万円と反発したものの、神奈川県(-4.0%)、千葉県(-0.4%)が下落し、首都圏全体では減速傾向が続く。中古住宅は築年数の若返り傾向も見られるが、価格の押し上げにはつながっていない。

主要都市に目を向けると、東京23区の新築平均価格は9,152万円(-6.8%)、中古は1億719万円(-3.9%)と、いずれも下落が続いた。高価格帯エリアでの需要減が影響したと見られる。一方、川崎市の新築は+13.1%の6,347万円と過去最高を更新。相模原市やさいたま市でも大幅な上昇がみられた。

近畿圏では新築が3,719万円(-1.9%)と下落に転じたが、中古は2,963万円(+0.9%)と反発。大阪市の中古は-18.0%の大幅下落に対し、新築も-6.9%と軟調だった。

今月の市場は、「新築=供給減による価格上昇」「中古=築浅物件増も下落基調」という構図が鮮明となった。新年度を迎えた今、買い手の選択にも変化が生まれそうだ。

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この記事を書いた人

住宅ライター・編集者。宅地建物取引主任者。住宅系メディアに10年以上携わり、賃貸経営、民泊運営など不動産を活用した事業を営んでいる。

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